星葬

星がいちばんきれいに光るのはね、空から消えてなくなるときなんだよ


皮肉なもんだよなあ、笑う。室内を包み込む空気は冷ややかだった。刺すような冷たさ、触れたらちぎれてしまいそうな透明感。誰かが泣いている。誰かが怒っている。誰かが絶望している。誰かが後悔している。それなのに不思議だ、おれはと言えばどんな感情も抱いていない。ただ凍り付いたようにそこに、いた。誰かが声をかけたかもしれない。覚えていない。聞こえていない。


星がいちばんきれいに光るのはね、


ただその言葉だけが頭の中でエンドレスループ。なんでなのかもわからない。何をきっかけに思い出したのかもわからないし、そもそもきっかけがあったのかどうかもわからない。ただ漠然と浮かびくる文字の羅列が、それを結んでいる。
星がいちばんきれいに光るとき、それが本当に存在するのかと疑ってかかったら、ほんとだよ、じゃあ今度から毎日星を見てごらん、そしたらいつかきれいに散ってくところ見られるかもしれないよ、いつになく通った声で告げられた。星ってそんな頻繁に消えちゃうの？さあ、わかんない。けど、もしかしたらいつか見れるかもしれないし、にこりと笑う。びっくりするほどの笑顔だった。ほんとに彼であるのか疑ってしまうくらい、それはきれいな笑顔だった。そうだ、今思えばそうだった。
だけどおれは毎晩星を観察したりはしなかった。いつ起こるかもわからない星の滅亡を待つのなんてごめんだ。短いとまでは言わないけれど、おれだってそれほど気が長いほうじゃない。じゃあお前は毎日星見てるの？問いかけに、答えずにただ笑ったあいつ。あいつは一度でもそれを見たのか。


「――――」


聞こえそうで、それでも何も聞こえなかった。
じゃあ、その瞬間にはおれ、ちゃんと知らせるよ。だから、いっしょに見よう、いちばんきれいな星。ね、約束。
何が約束、だ、ばかやろう。星の滅亡どころか、おれは、お前が消える瞬間すら見せてもらえなかったよ。散りゆく瞬間、お前がいちばんきれいになる瞬間を、おれは見せてもらえなかったよ。なあ、おまえはちゃんと、いままでのどんなときよりも美しく、散っていったの。おれのいない場所で、鮮やかに消えていったの。聞こえないよ、ねえ、


「み、ずた、に、」


ようやく漏れた声は、思っていたよりも重たかった。ここにいるのは、おれとみずたにのふたりだけだった。
いっしょに見よう、いちばんきれいな星。
いっしょに見よう、いちばんきれいなほし。
こんなことなら、聞いたときから毎晩、ちゃんと空を見上げてればよかったかなあ。そもそも星が消えるサインの見つけ方をあいつは教えてくれなかったけれど。ああもしかしてそれを聞き出していたら、おれはお前のサインも拾うことが出来ていたのかなあ。
いっしょにみよう、いちばんきれいなほし。
今度はおれが見つけるから、その瞬間にはおれ、ちゃんと知らせるから、そうしたらさあ、あの話した公園の芝生に寝転がって、いっしょに空見ようよ。
あ、ねえ、


たぶんきっと、今晩世界でいちばんきれいな星が、消えてなくなるよ


















星屑が爆発､

（おれは巻き込まれて、死んだ）







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／07.11

死ネタすまそ^^
そこまでアレじゃないからいいかなとか思ってみたり
不思議ちゃん水谷、に戸惑う栄口、そして染まる

…星の話は信用しちゃダメ^^